職人の朝は早い

「どうしてこんなに早く?」

日が上り始めたころに職人は起きる
職人「昼間に小中学生をカモにすると批難されるんで。
      これくらい早く起きないと駄目なんですよ」
辛くはないんですか?
職人「まぁ、最初は嫌でしたよ(笑)
      でもこの仕事を続けるうちにどんどん苦にならなくなっていったんです」
そういいながら淡々とコンビニでパック勝負を続けている
一般プレイヤーでは到底やらないような持ち金でも
職人は即勝負に踊り出てしまう
何気ない行動の一つでも職人技が光る
いつもはこんな風に仕事を?
職人「いえ、いつもは仲間内で勝負したり
      店の初心者っぽい人をカモにしたりしてます」
職人「ですが後者は他の方にはお勧めできませんね
      とんでもない強運の方とやりあって自爆することがあるんで(笑)」
このお仕事を始めたきっかけは?
職人「友人に勧められて始めました
      今は僕のパック勝負っぷりに皆尊敬のまなざしを送ってきます」
小鳥の囀りが聞こえる
どうやらもう10時、コンビニにもちらほら人が現れるようになった
職人「あちゃーきちゃいましたね
      最初のうちは他の勝負場を探してたりしたんですが今はもう違います
      見ててください」
そういうと客足が途切れるタイミングを淡々と狙いながら小中学生を
巧みに狙う様はまさに職人を感じさせる
すごいですね・・・
職人「最初のうちは僕にPTAの方が文句を言いにきたりと
      中々大変だったんです。初心者にはお勧めできない諸刃の剣ですね」
職人「この店はもうダメですね、ヨドバシに行きましょう」
そういうと早足でヨドバシに向かう
次は何を?
職人「そうですね、そろそろ学生が来るんでカモを探さないとね」
そういうと職人は階段から売り場を見つめる
見つめること数十分、職人に変化が
どうしたんですか?
職人「僕が出禁にされてるんですよ
      常習犯としてかなりボロクソに言われてますね」
職人「まぁこういう事も仕事をやっていれば仕方のないことなんですが・・・」
辛くはないんですか?
職人「最初は辛かったですよ
      ですが仲間に支えれてなんとかここまでこれました」
この仕事をやめたいと思った時は?
職人「それは家族にさっさとまともな職につけと言われたことですかね
      仕事が仕事なので中々理解を得られないんですよ」
そうこうしているうちにもう昼である
職人はなにかを思い出したかのように急いでカードショップに向かった
どうしたんですか?
職人「今日は大会があったことを忘れていました
      取材のことばっかり考えていましたから(笑)」
大会というのは?
職人「そうですね、各種カードゲームのカードショップで行なわれる大会です
      今日行う大会はGWですね」
どうやら仲間内の集まるショップにいけたようだ
そして大会は始まった
大会の合間にパック勝負を行なう様はまさに職人を感じさせる
大会でパック勝負をするのとその他での違いは?
職人「いろいろありますが一番はやっぱり楽しい事ですかね
      その辺でやる時はどうしても作業しているっていう感じになるんですが
      大会中でやるときは仲間内で談笑できますからね」
そういうとまた黙々とパック勝負を始めた
おや?職人の顔が強張っている
どうしたんですか?
職人「金が無いからってパック勝負を止めた奴がいるんですよ
      そんな野郎は勝負師の風上にもおけませんよ
      戻ってきたら徹底的に叩いてやります」
職人は一切妥協しない
時刻はもう17時、夕方である
大会も無事終わったようだ
そういえば朝から何も食べてないのでは・・・?
職人「基本的に深夜に一気に食べますね
      日中はやることが多いのでご飯を食べる暇がなくて・・・」
ご飯を食べる時間さえも惜しむ
職人の心意気をあらためて実感させられた
次は何を?
職人「フリプレをします」
フリプレ?
職人「はい、ストレス発散にもなりますし自分の力を見せ付けられますからね」
いつまでやるんですか?
職人「大体19時ごろまでですかね
      途中で飽きたら仲間内で雑談したりもします
      この時間帯は唯一休める貴重な時間帯なんです」
フリプレも終わり時刻はもう19時を回ろうかという時
職人は動き出す
職人「そろそろ・・・ですかね」
職人が仲間を連れてレジカウンターに向かう
絶好のタイミングである
そうすると職人はまた狩りを始める
この仕事をやっててよかったと思うときは?
職人「一番はシークレットレアやメタルレアが出た時ですかね
      その日一日はそのレアを眺めるだけで終わりました(笑」
そう語る職人の顔はとてもうれしそうだ
勝負を続けるうちにもう閉店時間の21時だ
職人「明日も早いのでそろそろこの辺で終わらないとね」
そういうと職人は帰宅の準備に入った
自分の体調もきちんと管理する職人である
明日は何時に?
職人「明日も9時ですね」
職人「それじゃあ僕はご飯を食べてから寝ます
       おやすみなさい」
パック勝負職人の長い一日が終わった



職人の朝は早い
日が昇り始めた頃に職人は出かける
どちらへいかれるんですか?
職人「資金調達です
      今日はSCの新弾発売なのでいつもより金が多く必要なんです」
いくらくらい調達されるんですか?
職人「そうですね、実用度の高いカードが少なければ2万ほど
      今回は雑誌情報でシングル3000円クラスがあるので3万ほどですかね」
そして母親の元へ
職人「ふぅー・・・」
職人は資金を財布に入れるとベッドに横になった
どうしたんですか?
職人「母親に土下座するのが辛くてね、少しつかれたんだ
      職業病って奴かな?違うか(笑)」
職人たるものお笑いのセンスも中々である
職人は立ち上がると某掲示板を覗いてばかりで店に向かわない
なぜでかけないんですか?
職人「開店が多分11時ですからね
      僕ぐらいになると時間が大体分かるんです」
これも今までに身につけた能力の一つだという
職人「おっ?」
どうしました?
職人「そろそろ行きますね・・・」
そういうと職人は新宿に向かった
なぜ池袋ではなく新宿に?
職人「初日のシングルは新宿の方が安いのですよ
      自分の使う用は安く済ましたいですからね」
そういうとわずか30分で1万円分を消費した
職人が語るには常人では最低でも1時間はかかるという
これもゲームの中で身につけた能力の一つだ
職人「」ブルッ
どうしました?
職人「」
物凄い勢いでシングル売り場に向かう
そして置かれた新弾カードの価格を紙にメモし始める
その行動を30秒で終わらせるとものすごい勢いでレジにならんだ
職人「早く・・・早く・・・早く・・・」
職人はブツブツと独り言を言いながらレジ待ちをしている
あのぉー・・・
職人「」
返事はない

職人「いやぁすいませんね
      ブースターやスタータで手に入らなかった分は安く買わなきゃなんで
      店員の声以外聞こえなくなるんです」
めぼしいレアはあたりましたか?
職人「今回は運がよくて2万程度でなんとか必須クラスは手に入りました」
そう語る職人の顔はとてもうれしそうだった
今日の予定は・・・?
職人「使わないカードを仲間内で交換と、店に買取してもらうのですかね
      これくらいしないと揃わないっていうか・・・ね(笑)」
今日はパック勝負は?
職人「やりますよ
      今日は1枚3000円の新弾カードが当たるかもですからね」
職人は情報提供も欠かさない
当てたカードを事細かにmixiに書き、トレードを狙っているようだ
職人「!?」
どうしたんですか?
職人「価格が更新されました、今当たったトップレアが3000から3500円に!
      こりゃあ、買取が1500円行くかもです」
更新をしながら遠くにあるショーケースの価格を見ていたようだ
さすが職人というべきか
職人「いやー、一発でトップレアは半年に一回出るか出ないかなんで
      今日は運がよかったですよ」
そうこうしているまにもう21時である
最後にお聞きします
一文無しになってもパック勝負は続けますか?
職人「借金してでも」
ありがとうございました
職人「こちらこそ」
職人の朝は早い
                               fin
※この作品はフィクションです。作品中に出てくる人物・団体は実際のものとは関係ありませんので、ご了承ください。

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